悠冴紀
2015年10月11日
●「大量殺戮を語る理性的な言葉など 何ひとつない」
●「絵画と武器は、わたしが思っていた以上に共通点があるようだ。
それを使ってどんなに驚くべきこと、そしておそらくは記憶に残る
ようなことをやれるかを、その持ち主に ほのめかすところが」
●「女性は不道徳なテクノロジーに男性ほど好意的でありません。
人間を殺すような計画や機械装置に対する反対デモでは、
しばしば子連れの女性が男性の数を上回ります。
『フランケンシュタインの怪物』というアイディアを想像
したのはメアリー・ウルスタイン・シェリーという女性でした」
●「前に行く人が万事心得ていると思い込むのは、
何よりも危険な信仰だ 」
●「嘘の上にも 有益な宗教は築ける」
●「善が悪に勝てないこともない。
ただ、そのためには 天使がマフィアなみに組織化される必要がある」
●「誰かが不適応のままでいなくちゃいけない。
誰か この社会に馴染めない者がいて、
人間が今どこにいるか、どこへ行こうとしているか、
何故そこへ行こうとしているかに、疑問をぶつけなくちゃいけない 」
●「私は国境を土台にものを考えることができないんだ。
想像上の一線なんて、妖精や何かと同じくらい非現実的なものに見える。
人間の魂にとって本当に大事なことが国境線から始まったり、
そこで終わったりするということが信じられない。
美徳も悪徳も、快楽も苦痛も、国境線で縛られたりしないよ」
●「悪とは あらゆる人間の中に潜む大きな部分
―─ 際限無しに憎み、神を見方につけて憎みたがる部分のことだ。
どんな人間にも、色んな醜さに えらく魅力を感じる部分があるもの
だが、その部分こそ悪なんだ 」
●「『敗北者は幾多の宗教を有しており、
その多くは泣く者と共に泣く宗教である』と、
わたしは言葉を続けるだろう。
『勝利者の唯一の宗教は、冷酷に解釈されたダーウィニズムであり、
それは、最適者のみの生存こそ宇宙の意志である』と主張する」
●「この地球は今やひどい状態だ。
しかしそれは今に始まったことではなく、ずっと昔からそうだったのだ。
『古き良き時代』など、一度たりともあったためしがない。
同じような日々を重ねてきただけだ。
だから私は、自分の孫にはこう言うことにしている。
『年寄りに聞こう、なんて思うなよ。お前とちっとも変らないんだから』」
●「バカな年寄りがいる。
わしらが経験したような大きな災難を経験しないうちは、
人は大人になれない、なんて のたまう奴らだ。
大きな災難というのは 大恐慌や、第二次世界大戦や、
ヴェトナム戦争なんかのこと。
……私は第二次世界大戦から戻ってきたとき、
おじさんに背中を叩かれて、こう言われた。
『お前もこれで ようやく男になったな』
私はおじさんを殺したいと思った」
●「我々が人間であるという大きな過ちの次に おかしている
大きな過ちは、『時』に対する過ちではないかと思う。
我々は 時計やカレンダーなど様々な道具を使って、
サラミのように『時』をスライスし、
そのひと切れひと切れに 名前をつけ、所有した気になり、
時はそれっきり固定されてしまうように思ってしまう」
●「トラブルを起こすのは知識じゃなく、その利用の仕方だよ」
──カート・ヴォネガットJr.