悠冴紀
2014年2月7日
認めるよ
私は敗北者
自分を哀れむことだけは
絶対すまいと思っていたのに
諦めることだけは
絶対すまいと決めていたのに
誇りを守ろうと構えていた
人生を守ろうと闘っていた
無駄な努力だった
何もかも
私は敗北者
だけど怖いものは何もない
傷付くものも失うものもなく
これ以上堕ちようがないから
ゼロになった
「強い」も「弱い」もない
「良い」も「悪い」もない
何故だか
いつになく落ち着いている
背中が軽い
大事にしてきたものすべてを失って
恐れるものも無くなって
刺さるトゲさえ気にならず
かつてなく落ち着いている
良いことでもあったかのように
軽い足取りで歩いている
軽く 軽く
笑っている
※この詩は1999年頃(22歳当時)に作成したものです。
凝り固まった意地やプライドそれ自体によって、自分自身の人生を不必要に重苦しいものにしてしまい、敵を作りながら生きていた頃の私から、良くも悪くも肩の力の抜けた自然体な自分へと脱皮成長していった、まさにそのターニングポイントとなった時期の心境を描いています。
それまでの私は、どういう生き方が強さの証明だの、何が正しいだの絶対だの……といった発想で自分自身をがんじがらめにしていて、石のように硬く不動であったがゆえに、そうした信念や誇りそれ自体によって、精神面の成長を止めてしまっているところがありました。
ですが、その手のものは、人生の様々な局面で、思い描いた通りにはいかない現実に突き当たるうちに、いずれ自ずと削り落とされていくものです。そしてついには、自分を人生の「敗北者」だと認めざるを得ないところにまで堕ち込んだとき、一度は “無” に帰したからこそ、皮肉にも精神の自由を得て内なる何かが解き放たれる。一見絶望的な末路のようで、実は予期しなかった新しい生き方への第一歩として。
そういう作品です。
注)この作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず「詩『敗北者(悠冴紀作)』より」と明記してください。
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