悠冴紀2020年4月18日詩『傍観者』作:悠冴紀 木々がざわめき 雲が不安定に闇夜を漂う 試されているのは 君か? 私か? この闘いに 敵はいない 明確な目標になるような 人間の敵は 実体のない幽霊を相手にしているかのよう ある日突然襲い掛かり 姿も見せずに蝕んでいく 数えて何度目の試練だろう...
悠冴紀2020年3月29日詩 『鬼~母なる地球の連環計』人類の繁栄と 夢の果て 止め処ない人口爆発とグローバル化 広がるところまで広がれば いずれ自壊して収縮の時を迎える 目に見えていたはずのこと これはいわゆる揺り戻しだ よもやこんな形でとは知り得なかったが 予感と覚悟は常にあった これ以上はないところまで伸びきった末...
悠冴紀2019年6月8日鮫々のように暗く 冷たい 水の中で 独り静かに佇んでいたい 冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように 笑うことなく 馴れ合うことなく 誰も寄り付かないほどの深みに溺れて…… 差し伸べる手など 必要ない 人々が救いと信じるものが 私には死だ 現に私は日に日に崩れ...
悠冴紀2018年10月5日不死鳥(フェニックス)君は不死鳥になった 私の中で 永遠に消えない 君がお別れを言いに来たとき あの場に私がいなかったのは このためかもしれないと 今は思う 君の命に翼が生えて 空高く飛び立つのを見た気がする 君を愛した者たちの涙をあわせ 空が水の翼を編み上げた 君は不死鳥 濁りを知らない柔ら
悠冴紀2018年9月14日黒い雨空が泣いている 深く深く 傷を負った空が 黒い涙を頭上から散らし 夜の大地に染みていく 雨が降る 見える者にのみ見える泥づいた黒さで 鋭い雨が降りしきる 警告のように 罰のように 汚れた大地を打ち付けて 何が空を切り裂いたのか 昨日の不実か 明日の残酷さか……