小説「翡翠の神話(ミュートス)」悠冴紀著

2012年刊行の社会派ミステリー小説『PHASE(フェーズ)』を本編とするシリーズ第3弾『翡翠の神話(ミュートス)』の内容紹介ページです。

Amazon 掲載ページ:

​ 紙の本の購入はこちら▼ 

(A5サイズ・146ページ)

電子書籍の購入はこちら▼

(kindle Unlimited 対象商品)

注:本書はAmazonからの独占販売であり、書店および他サイトではお買い求めいただけません。なお、電子書籍については、kindle専用端末をお持ちでない方でも、無料アプリをインストールすればスマホやiPhone、PCなどでご覧いただくことができます

🎥 本作の内容紹介PVは こちら(YouTube動画)

悠冴紀の全出版作が掲載されている
Amazon著者ページは こちら

 内容紹介 

高め合う関係の果てに行きつく究極の成就とは何か?

愛と喪失、死と再生。

偽装にまみれた血生臭い日々の中で 真実の相手を見出し、

独り取り残されてしまった元ドイツ諜報員、Jはあれから──?

「憲玲の声が聞こえるんだ。

 事あるごとに、今も尚──」

約半年前のある出来事で、物言わぬ存在となってしまった植物状態のパートナー、憲玲(ケンレイ)の抜け殻を、古城のような外観を持つベルリン郊外の屋敷で護り、終始寄り添い、語り掛けながら、決して手放すことなく歩み続けてきたJ。そんな彼のもとに、あるとき彼女の姉を名乗る、瓜二つの外見を持つ謎の中国人女性が現れるのだが……。

「今回は相手が悪い。必ずこの手で息の根を止めてやる!」

「俺の首が欲しいなら、くれてやるさ。ひょっとすると俺は、こういう機会を待っていたのかもしれない」

雷鳴と共に覚醒した眠れる凶器。
似た者同士の哀しき選択……。


切なくも美しく、神話の一場面のような恍惚とした描写で再始動した物語は、やがて予想だにしなかった皮肉な様相を帯びていき、敵ならぬ者が牙を剥くまさかの展開に──。

​-------------

※ 『PHASE』で人気を博した一部の登場人物たちが、ヨーロッパを舞台に活躍するスピンオフ小説『JADE~表象のかなたに~』に続く、後日談的なストーリーですが、前作までの内容を全く知らなくても理解できるよう仕上げてありますので、本シリーズが初めての方にも問題なくお楽しみいただけます。

 試し読み1 

 アンティークなアーチ型の窓枠に縁取られたハイリガー湖の風景は、彼女に四季折々の色彩を提供するキャンバスのようだった。若葉色の春、深緑の夏、黄金色の秋、白銀の冬。対岸の中央に白い大理石宮殿を据えながら、音もなく移ろい、日々少しずつ色味を変えていく。彼女の枕元で囁く彼の声に導かれて、静かにゆっくりと時を刻んで。

 とは言え、アニカのハシバミ色の目で実際に見えていたのは、屋敷を囲う郊外の緑と、人通りの少ない道路だけ。ハイリガー湖は、ベルリン南西部のあの屋敷から日帰りで行き来できる近場のスポットではあったが、地理的には隣のポツダムに位置していて……

 試し読み2 

「──そろそろ白状してもらおうか」

 いつものように中心街に出かけていく途中、駅まであと数メートルというところで、暗がりから不意に聞こえてきたその低い声に、女は振り返るなりギョッとしていた。Jはいつの間にか背後を取っていて、彼女が思うより間近にいた。

「何が狙いだ? 俺をどうしたい?」

 相手を射すくめる脅迫的な重低音で、徐に迫ってくる彼を見上げて、彼女はすっかり凍り付いていた。季節感の欠片もない黒づくめの衣服で現れ、タイトな黒いレザーグローブをしならせながら仁王立ちしている彼の姿は、さながら暗殺者のよう……

▲本HPでは見られない中略なしの試し読みや登場人物たちの言葉(名言格言あるいは毒舌集)等、noteでしか見られない記事を含んだ無料マガジン。なお、会員登録のない方でも自由に閲覧でき、気に入った記事に「♡スキ」を押すこともできます。