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  • 悠冴紀

ダリ展


昨日、京都市美術館でやっていたサルバドール・ダリ展に行ってきました 🎨

今回は友人の誘いで行ってきたんですが、そう言えば私、大学時代にダリにハマりまくって、

芸術論系の講義でダリについての論文を書いたこともあったんでした!! もうずいぶん前のことで、自分が具体的にどんなことを書いたのだか、詳細は思い出せませんが、当時独学で心理学の研究にも没頭していたので、自己カウンセリング的な側面も兼ねていたダリ流アートのデトックス&カタルシスについて、私なりの解釈であれこれ述べていたような憶えが、おぼろげにあります A^_^; さぞかし下手くそな素人論文だったろうと、今振り返ると恥ずかしくなりますが、担当講師は好しと思ってくださったみたいで、一応、五段階で言うところの5に当たる評価をいただいてました。(確か「不可、可、良、優、秀」みたいな評価方法だったと思いますが (?_?) ) たぶん、解釈の良し悪しや一論文としての上手い下手ではなく、猛烈に気に入っていたため熱意が伝わったのだろうと思います f^_^;

ダリ展のお土産の絵葉書

▲「ラファエロの聖母の最高速度」(左)と、「謎めいた要素のある風景」(右)

そんなわけで、大いなる懐かしみを抱きながら行ってきた私ですが、

今回は、これまでに観たことのない作品も複数あったというか、むしろ初めて観る作品が大半で、自分がいかにダリというアーティストを知らずにいたかを、いい意味での驚きをもって思い知る結果となりました Σ(・ω・ノ)ノ

昔購入したダリの画集に載っているような有名どころの作品群(典型的なシュルレアリスム系作品群)なら、ネットや何かで画像を集めまくって、個人的に(非営利ですが勝手に)自分の詩集の挿絵に使ったりしていましたが、今回展示されていたのは、そういうポピュラーな作品群ではなく、むしろ多くが、その前後の時期にダリが制作した幅広い活動の記録で、心理学だけに留まらない 量子力学や相対性理論などのテーマに踏み込んだ緻密な作品もあれば、活動初期の頃の写実的な作品(← いわばダリにしては地味で大人しい普通の描写:笑)、また古典主義的な描写にも興味関心を募らせていった晩年の作品など、彼の「創作する探究者」としての変遷が一続きの流れとして見えてくる展示になっていました。

「不思議の国のアリス」のために制作した、ダリなりの挿絵があったというのもちょっと意外で驚きましたが、

彼が映画製作にまで携わって、舞台芸術的なスケッチを遺していたのには、大いに驚きました(◎o◎) 会場では、私の他にも「えっ、ダリって、こんなこともやってたの!?」「こういうタイプの作品もあったんだ!???Σ(゚Д゚)」と驚く声が方々から聞かれました。

ダリ展の絵葉書「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」

今回の展示の中で、個人的に一番印象に残っているお気に入りの一作は、上の一枚です▲

私の知る懐かしのダリらしさもプンプン漂いつつ、目新しい質感も感じられるインパクトのある一作。ここに載せているのは、館内ショップで購入してきた絵葉書を写したものなので、皆様にはいまいち伝わらないかもしれませんが、この作品、間近に実物を観ると、何やら絵とは思えない立体感があって、ものすごいメタリックな質感があるんですよ。絵の具に金属の粉末でも混ぜたんじゃないかと思うほど(笑)

そしてこのブログを前々から読んでくださっている方なら、すでにご存じのように、

私はメタリックな質感に弱いという変なシュミの持ち主ですから σ(^▽^;)、

自分の好みに見事にピタリとハマってしまったんですよね 💘

(💡 サメの姿に惚れ惚れする大きな理由の一つも、あの無駄なく絞れた流線型の身体つきと

ブルーグレーの色合いが、絶妙にメタリックな質感に見える、という点にありますしね (^_-)-☆)

タイトルに「憂鬱な」とついている通り、陰鬱な描写のはずなのに、

私目線には何やらシャキーン!と身の引き締まる心地好い清涼感を感じられたというか、

ヒヤリとした冷たさをも伴う硬質な金属っぽさを感じられて、ものすごい吸引力で惹きつけられてしまいました 💖

……ですがこの作品、実はダリが広島と長崎への原爆投下の事実を知ったときに、衝撃を受けて制作した作品でもあるのです。なのでこの、ハッと目の覚めるようなリアルな質感 ── それまではどちらかというと、夢の中で見た光景や無意識下の形なきものをトロッ、フワッ、プニプニ……と曖昧に表現し、観る者をその内側の世界に溶かし入れてしまうような描写の多かったダリが、逆にこの作品では、手に触れようとするとカキーン!と跳ね返されてしまいそうな外向きの物質感 ── へと引き戻しているのも、やはり原爆投下という、曖昧さの欠片もない事実から受けたダリのショックの具合が、そのまま投影された結果なのでしょう。人間精神の内側へと誘い込んでいくのではなく、作品づくりを通して せっかく楽しく入り込んでいたそういう柔らかな世界から、人間性や内なる広がりなど一瞬にして抹消してしまう外側の無機質な現実へと、彼自身が突如として締め出されて。

圧倒的な力を見せつけてしまった物質力の勝利と、人間性の敗北。

すべてがただの物質に帰してしまったという、途方もない虚無感。

喜怒哀楽さえも麻痺してしまい、まさに金属の塊にでもなって

しまったかのように、もはや感情が機能しない ── 。

制作秘話を知った上で改めてこの絵を観ると、そんな印象が伝わってきました。

そのあたりの重くて深いテーマ性と背景事情をも含めて、

私はやっぱりこの絵が好きです。

メイ・ウェストの部屋

さて、最後のこの冗談みたいな画像 👆 は何かと言いますと、

メイ・ウェストという女優の顔を模した立体作品の一つというか、

会場の説明書きによると、ダリが顔写真にグワッシュで加筆して制作したコラージュ作品をもとに、3次元の作品として再現したものだそうで、会場内では唯一撮影可能な場所として開放されていました。まあ、言ってみれば来場者へのファン・サービスですね、ハイ A^_^; ホントは、正面に回って鏡越しに撮れば、うまい具合に髪の毛も加えてメイ・ウェストの顔が浮かび上がる、という構図なんですが、それだとどうしても私自身も写ってしまうので、この場では、こういう微妙な角度の一枚を載せておりまする m(_ _)m

気になる方は、どうぞ会場にて ご自分で撮影してみてください(^_-)-☆

日本では約10年ぶりの個展となるこのダリ展、9月4日まで開催していますから ♬

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