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  • 悠冴紀

Flamenco


今更ながらの投稿ですが、東日本大震災からちょうど1年が経つ3月はじめに、友人のブログに載せた記事を、このほど開設したこちらのMyブログにも投稿させてもらいます。震災の問題を踏まえながら書いた重要な記事だったもので・・・。▼

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凛とした力強い踊りが魅力のカリスマダンサー(フラメンコ)、辻川テルさんは、昨年、親と姉が福島在住のため、震災によって安否の確認もままならない状況が続く中、それでも華麗に力強く踊りきり、ここ関西で予定通りに公演を完遂しました。  震災直後の自粛ムードで人が集まらないのではないかと思いきや、会場は身動き取れないほどの超満員で、涙する人もいれば、圧倒されて茫然と立ち尽くす人もいたりして、大盛況でした。  震災後、視界に入る情報という情報が悲惨な事実で埋め尽くされ、その大きな流れの中で必要とされること以外は、何もしたり言ってはならないような気がしてしまう余裕のない毎日が続いていたからこそ、皆が今まで以上に芸術というものを必要としているのが、ひしと感じられました。  2009年、村上春樹氏がエルサレム賞授与式のスピーチで、小説を書く理由についてこんな風に語っていました。作家が涙や微笑みをもたらす物語を綴るのは、私達が何かを見失い魂の品位を落とすことで、尊厳がないがしろにされるような世の中にならないよう、警鐘を打ち鳴らし、個々人の魂のかげがえのなさを再実感させるためだと。

 絵画や踊りや音楽など、ツールは違えど他のすべての芸術・創作活動もまた、人間が人間らしさを忘れないため、心の豊さを保ち尊厳を守るための闘いなのだと思います。  震災からちょうど1年が経とうとする今、何かに立ち向かうように毅然としたテルさんの姿、情熱的な舞いを観て、改めてそれを実感させてもらいました。  私はこの場を借りて、世界中のすべてのアーティストに感謝の意を伝え、芸術を必要とするすべての人々にこの感動を届けたい。

※2012年3月 ©悠冴紀


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