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  • 悠冴紀


さなぎ

君は蛹 君は自分自身から逃げ去る者 そして蛹は眠るもの まゆ 君の努力は繭の中 いつも行動を伴わない 他との交わりのない小さな殻の中で ただ独り 考えるだけ 関係はいつも一方通行 主体性ある行動を評価されるのが怖くて 空気さえ動かすまいと 受け身の姿勢で固まっている 誰かが働きかけてくれるのを 君はただ待つだけ やがて皆が去り 君は一人取り残された 流れやまない時間と 変化の絶えない世界の中で 他との関係一つ築けぬまま 関係とは二人以上の存在をして初めて成るもの 君はいつも一人きり 繭の中に籠ったまま あえて関係を成さずにいる 失敗に終わるのが怖いからと あえて何も始めないでいる 君は怯えるばかり 君は逃げるばかり 君の本来の姿を一目見ようと核心に近づく者を 君はことごとく突き放す 評価を恐れる臆病さのゆえに 怒りで相手を威嚇しながら 逃げて 隠れて 閉ざしてしまう 時間を止めて羽化を拒み 自ら他者を閉め出しながら 必然の孤独に涙する君 君は永久に蛹のまま 繭の中で朽ちていく

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※2005年の作品。  作中の “君” というのは、他の詩作品天狼 ~ハティ」「君に贈るもの」「SPHINX」「氷の道標」「幽霊等に登場させている『君』と同じ、引きこもりという形で私の人生から姿を消していった幼馴染の親友Sのことです。  今現在の彼女がどんな様子か、私と離れてからそれなりに何かが変わったのか、私には知るすべもありませんが、以前の彼女はこの詩に書いた通りの人でした (- -;) もちろん、これが彼女のすべて、というわけではなく、私が知り得た多くの側面のうちのほんの一部分を表現したにすぎませんが。  この詩を書いてから8年近くも経っているので、今はもう自分の殻を打ち破って、気持ちの上で羽ばたいていることを願います、ハイ 💦 ところで、実はこの詩には、合わせ鏡のように対照的な描写をしたセット作品があり、そちらの主役は著作者である私自身となっています。タイトルは。繭を作るタイプの蛹は、たいてい蝶ではなく蛾(ガ)か他の昆虫類になるのですが、詩作品で『蛾』というのも、あまりに風情に欠けるというか何というか・・・・・・A^_^;) それはそれで、書いてみれば面白い作品になるかもしれませんが、少しでも内容に合ったタイトルにしようと、「蝶」にしておきました(笑) 注)私の言葉を一部でも引用・転載する場合は、必ず『悠冴紀著』と明記してください。   自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たりますm(__)m


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